規程シリーズ、前回までに、定款、就業規則、人事評価、そして「上場時には規程が50を超える」という全体像を見てきました。今回からは、その50超の規程を、分類ごとに掘り下げていきます。まずは、全体の地図を描いたうえで、「基本規程」から始めます。
規程の大分類――6つのグループで捉える
50を超える規程も、分類してしまえば、見通しが立ちます。大きく分けると、基本規程、組織規程、人事規程、業務規程、経理規程、その他――この6つのグループです。
このうち人事規程については、就業規則の棚卸、条項別の解説、人事評価と、これまでの記事で扱ってきたとおりです。今回は、最初のグループ、基本規程を見ていきます。
基本規程とは――会社の骨格を定める規程群
基本規程は、会社という組織の骨格、つまり機関の運営や会社全体にかかわる基本ルールを定める規程群です。主なものは、次のとおりです。
取締役会規程や監査役会規程は、以前の記事で書いた取締役会の設置・運営を、ルールとして支えるものです。会議体規程は、経営会議などの会議体の位置づけを定めます。規程等管理規程は、「規程を作る・変えるときのルール」を定める、いわば規程の親玉。内部監査規程は、内部監査体制の根拠になります。そして、個人情報取扱規程と特定個人情報(マイナンバー)取扱規程は、情報を扱ううえでの基本ルールです。
株式取扱規程だけは、「上場仕様」への改定が続く
この中で、少し性質が違うのが、株式取扱規程です。株式取扱規程は、定款の規定に基づいて、株式に関する手続き――株主名簿、名義書換、各種届出など――の詳細を定める規程です。
これは、上場の準備に伴い、改定されていきます。上場するには、株主名簿管理人(信託銀行等)を設置する必要があり、株式事務の実務は信託銀行に委ねることになります。そのため、株式取扱規程も、信託銀行と相談しながら、上場会社仕様へと整えていくのです。以前の記事で「信託銀行とは早めに付き合い始める」と書いたのは、まさにこの文脈です。定款の変更(譲渡制限の廃止や単元株の設定など)とも連動して動く、上場準備ならではの規程と言えます。
その他の基本規程は「汎用的」――ここに時間をかけすぎない
一方で、株式取扱規程以外の基本規程は、上場準備の段階では、他社と大差なく、汎用的なものがほとんど、というのが実務の印象です。
取締役会規程も、規程管理規程も、個人情報取扱規程も、その内容は会社法や個人情報保護法といった法令に沿って定めるものなので、会社ごとの独自色が出る余地は、実はそれほど多くありません。だからこそ、ここは発想の転換が大事です。汎用的で足りる規程は、信頼できるひな形をベースに効率よく整え、浮いた時間と労力を、自社の実態を映す必要のある規程――組織規程、業務規程、経理規程――に注ぐ。50超の規程すべてをゼロから書き起こす必要はないのです。どこに力をかけ、どこを省力化するか。その配分こそが、規程整備の実務センスだと思います。
なお、こうした汎用的な規程の一般的なひな型は、当サイトの便利ツールとして公開予定です。整備の出発点として、活用いただければと思います。
まとめ
50超の規程は、基本・組織・人事・業務・経理・その他の6分類で捉えると、見通しが立ちます。基本規程は、会社の骨格を定める規程群で、取締役会規程・監査役会規程・役員規程・会議体規程・株式取扱規程・規程等管理規程・内部監査規程・個人情報取扱規程・特定個人情報取扱規程などが該当します。このうち株式取扱規程は、株主名簿管理人(信託銀行)と連携しながら上場仕様へ改定を重ねていく、上場準備ならではの規程。それ以外は汎用的なものがほとんどなので、ひな形を活用して効率よく整え、力をかけるべき規程に時間を注ぐ。この濃淡のつけ方が、規程整備を前に進めるコツです。
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※本記事は、IPO準備に携わった経験に基づく一般的な見解です。規程の整備にあたっては、自社の実態・機関設計に合わせ、弁護士・監査法人・主幹事証券会社等にご相談ください。制度は改正されることがあります。

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