言われてみれば、仕事の連絡の文章量が、圧倒的に増えたと感じています。昔は短くても伝わっていたことが、今は妙に整った、長めの文章で送られてくる。ある調査で、その感覚を裏づける数字を見つけました。取引先からの連絡が「AIで作られたもの」だと気づいた経験のある人が、60.4%に上ったというのです。AIが日常のやりとりに入り込んだ時代の、コミュニケーションについて考えてみます。
6割が「これAIだな」と気づいている
調査によると、取引先からの連絡がAI製だと気づいた経験がある人は、合わせて60.4%。「頻繁にある」が7.0%、「たまにある」が53.4%です。今や、ビジネスの文章の多くにAIが関わっていて、受け取る側も、なんとなくそれを察している。「妙に整っているな」「やけに丁寧だな」という違和感が、AI製のサインになっているのでしょう。
意外にも、不快に感じる人は少ない
興味深いのは、それを不快に感じる人が、意外と少ないという点です。AI製だと気づいた場合の反応で最も多かったのは「特に気にならない」で、57.6%に達しました。
そして、気にならない理由の最多が「内容が伝わればよい」で、51.0%。ビジネスであれば、要件が伝われば形式は問わない、という実務的な割り切りが、広がっているようです。相手がAIで書いていようと、必要なことが正確に伝わるなら、それでいい。合理的といえば、合理的な感覚です。
でも、「丁寧すぎる文章」が距離を生むこともある
その一方で、AIで整えた丁寧すぎる文章が、かえって距離を感じさせる場面もあります。実際、調査で「良く感じない」と答えた人の理由には、「気持ちが伝わらない」(25.9%)、「楽をしていると感じる」(19.8%)といった声が並びました。
以前なら、一言「了解です」で済んでいたやりとりが、AIによって過剰に装飾される。「ご連絡いただき誠にありがとうございます。ご依頼の件、確かに承りました」――丁寧なのですが、なんだか他人行儀で、温度感がずれてしまう。親しい相手との気軽なやりとりに、よそよそしい完璧な文章が返ってくると、かえって壁を感じる。そういうことが、起こり得るのです。丁寧さが、いつも良い方向に働くとは限りません。
大事なのは、相手と場面に応じた使い分け
結局のところ、大事なのは、相手と場面に応じた使い分けだと思っています。
要件を正確に伝えるべき場面――複雑な説明、フォーマルな文書、抜け漏れが許されない連絡――では、AIの力を借りればいい。一方、関係性や感謝を伝えたい場面では、自分の言葉で、短くても率直に書く。「ありがとう、助かりました」の一言は、完璧に整ったAIの文章より、ずっと心に届くことがあります。文章量が増えることが、必ずしも丁寧さではない。長く整っているほど誠実、というわけではないのです。
短くても伝わっていた、あの頃の感覚。AIが何でも整えてくれる時代だからこそ、その感覚を、今も大切にしたいと感じています。ツールとして便利に使いこなしながらも、人と人との温度感は、自分の言葉で守っていく。その使い分けの意識が、これからのビジネスコミュニケーションで、静かに差を生むのだと思います。
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参考・出典
- 「仕事の連絡、AI入力はバレてる? 6割超が『違和感を覚えた』」ITmedia ビジネスオンライン、2026年7月(調査:エムフロ、ビジネスパーソン500人、2026年5月)
※本記事は報道・公表資料をもとにした筆者個人の見解です。引用した数値の詳細は、出典元をご確認ください。

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