改善が進まないのは、能力ではなく『時間』の問題

「稼げない」と言われる農業で、時給6,000円を叩き出し、「キーエンス超え」を目指す元県庁職員――そんな記事を読んで、深く感銘を受けました。同時に、日常業務を「改善する」ことの難しさを、あらためて考えさせられました。なぜ、多くの現場で改善は進まないのか。そして、それを乗り越えた人は、何が違ったのか。コーポレート実務の視点から考えてみます。

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稼げない農業で「時給6,000円」――仕組みを変えた人

記事の主人公は、香川県庁の職員時代に11種類ものキウイ品種を開発し、「キウイ業界のレジェンド」と呼ばれる方です。中小農家が大半という香川県農業の特性を踏まえ、量を追う従来のやり方から、品質と単価で勝負する「プレミアム戦略」へと発想を転換。高単価で売れる品種を自ら開発し、退職後は技術コンサルティング会社を立ち上げ、革新的な栽培術とAIアプリの活用で、「稼げない」とされてきた農業で時給6,000円を実現しています。目標は「キーエンス超え」だといいます。

「日々の業務に追われて、改善に手が回らない」という構造

この話に凄みを感じるのは、裏返しとして、多くの現場で起きていることを知っているからです。それは、日々の業務に追われて、改善に手が回らない、という状況です。

目の前の仕事をこなすだけで、一日が終わる。新しい仕組みに変えようとしても、その導入には労力も時間もかかる。結果として、「今までと同じやり方」を続けてしまう。これは農業に限らず、あらゆる業種、そしてコーポレート実務の現場でも共通する構造だと感じています。毎月の給与計算、月次決算、各種手続き――定例業務は待ってくれません。「もっと良いやり方があるはずだ」と思いながら、今日も同じ手順を繰り返す。多くの管理部門が、この構造の中にいます。

目先の作業に流されず、「構造」から見直す勇気

だからこそ、量を追う従来のやり方から、品質と単価で勝負する戦略へと発想を転換し、品種開発やAIアプリの活用にまで踏み込んだことに、強い凄みを感じます。

作業のやり方を少し工夫する、という次元ではありません。「何で勝負するか」という構造そのものを変えた。稼げないとされてきた農業の常識を、仕組みを変えることで覆したのです。これは、目先の作業に流されず、構造から見直す勇気を持てた人だけがたどり着ける成果です。日々の作業を頑張ることと、仕組みを問い直すことは、別の営みです。そして、大きな成果は、いつも後者から生まれます。

目の前の作業に流される
定例業務で一日が終わる
「今までと同じやり方」の継続
数年後も、同じ忙しさのまま
仕組みを問い直す時間を確保する
一歩引いて、構造から見直す
新しい仕組みへの投資(労力と時間)
数年後、大きな成果の差になる

改善が進まないのは、能力ではなく「時間」の問題

コーポレート実務の視点で言えば、業務改善が進まない最大の理由は、能力ではありません。「改善に取り組む時間を捻出できないこと」にあります。

やり方が分からないのではない。忙しくて、考える時間がないのです。だからこそ、あえて日々の業務から一歩引いて、仕組みを問い直す時間を、意図的に確保することが重要です。週に数時間でも、月に一日でも構いません。「この業務は、そもそも必要か」「もっと良い形はないか」を考える時間を、予定として先に押さえてしまう。忙しさに任せていたら、その時間は永遠にやってきません。

忙しさを理由に現状維持を続けるのか。時間を作ってでも、変えるのか。その選択の差が、数年後に大きな成果の差となって表れるのだと、この記事は教えてくれます。時給6,000円の農業は、一朝一夕に生まれたのではなく、構造を問い直し続けた年月の先にある。管理部門の仕事も、まったく同じだと感じています。

参考・出典

本記事は、公開された記事を読んで感じたことをもとにした筆者個人の見解です。

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