AIが答えを出してくれる時代だからこそ、「出てきたものを適切な形にできるか」という力が、これまで以上に重要になっていると感じています。ある記事で「過程を作れる人が評価される」という指摘を読み、コーポレート実務の現場で日々感じていることと、深く重なりました。
AIの出力を、そのまま使えるケースはほとんどない
コーポレート実務の現場で痛感するのは、AIの出力をそのまま使えるケースは、ほとんどないということです。誤字や脱字を見抜く、数字の違和感に気づく、文脈に合わない表現を直す――こうした最終的な仕上げの精度こそが、アウトプットの質を決めます。
そして、この「見抜く力」は、自分で何度も手を動かしてきた経験からしか育ちません。AIが9割を作ってくれても、その9割が正しいかを判断し、残りの1割を仕上げるのは人間です。その1割の質が、全体の信頼性を左右します。皮肉なことに、AIが優秀になるほど、それを検証できる人間の価値は上がっていくのです。
会計士の「目利き」に見る、経験の差
特に実感するのが、会計士の方々と接するときの、目利きの違いです。同じ財務資料を見ても、どこに違和感があるか、どこが論点になるかを、瞬時に見抜く。あの感覚は、膨大な実務経験の蓄積から来るものです。
そして、この目利きは、AIが出した数字を検証する場面でこそ、その差が際立ちます。AIは、それらしい数字を、それらしい形で出してきます。けれど、その数字が「この会社の、この文脈で、本当に妥当か」を判断するには、財務を読み込んできた経験がいる。違和感を覚える、その感覚自体が、経験の産物なのです。AI時代に問われるのは、まさにこの「違和感に気づける力」だと感じています。
「1回は超アナログでやってみる」ことの本質
記事にあった「1回は超アナログでやってみる」という指摘は、まさにこの目利きを育てるための本質だと思います。
最初からAIに丸投げすると、出てきたものが正しいかどうかを判断する基準そのものが、身につきません。たとえば、給与計算を一度も手計算でやったことがない人は、システムが弾き出した金額の違和感に気づけない。社会保険料の按分を自分で計算した経験があるから、AIやツールが出した数字の「おかしさ」が分かる。一見遠回りに見えても、自力でやった経験が、後にAIを使いこなす土台になります。
伸びるのは「答えを早く出せる人」ではない
AI時代に伸びるのは、答えを早く出せる人ではありません。出てきた答えを適切な形に整え、その良し悪しを見抜ける人です。
答えを出すこと自体は、もうAIが担えます。だからこそ、価値の源泉は「出された答えをどう扱うか」へと移っていく。その目利きを育てるための地道なプロセスを、若いうちにどれだけ積めるかが、これからの分かれ目になると感じています。一見、非効率に見える「自分の手でやる経験」こそが、AI時代における最も確かな投資なのかもしれません。管理部門の実務も、同じです。ツールやAIに任せられる部分は任せつつ、その出力を検証できる目を、地道な実務の中で養っていく。その両輪が、これからの実務家に求められていると思います。
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- 「成長したい」と言うくせに「なんでもAIで答えを出す人」が見落としている“大事なこと”(https://diamond.jp/articles/-/391273)
※本記事は、参考記事を読んで感じたことをもとにした筆者個人の見解です。
