AIが奪う一方で、AIだから生まれる仕事

これまでも、技術革新のたびに、多くの仕事がなくなってきました。AIもその延長線上にあり、仕事の構造は、イノベーションの都度、最適化されていくのだと思っています。ただ、ある記事を読んで、興味深い現象に気づきました。AIが仕事を奪う一方で、「AIだからこそ生まれる人手不足」が起きているのです。

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AIが奪うはずが、なぜか人手不足――サイバーセキュリティの例

記事によると、サイバーセキュリティ分野の求人が、前年同期比11%増を記録し、エンジニアの採用難に企業が悩まされているといいます。AIで仕事が奪われるどころか、むしろ人が足りない。この皮肉な現象の背景には、2つの要因があるそうです。

ひとつは、AIが生成したコードに欠陥が多く、それを「使えるレベル」に仕上げるスキルの評価が上がっていること。AIはコードを書けますが、その品質を見極め、修正できる人間が必要なのです。もうひとつは、AIを悪用した攻撃への防御ニーズの高まり。AIが攻撃の道具になるからこそ、それを防ぐ専門家が、これまで以上に求められています。AIの普及そのものが、新しい仕事を生み出しているわけです。

コーポレート視点で納得――AI倫理・ガバナンス人材の需要

さらに注目したいのが、AI倫理やガバナンスへの対応人材の需要です。企業内でAIを使う上でのルール作りや、コンプライアンス体制の構築が必要になり、この分野の専門家が求められている、と記事は指摘しています。

これは、コーポレート実務の視点から見ても、非常に納得感があります。新しい技術が普及するほど、その技術を安全に運用するための「統制機能」が、必ず必要になるからです。これは、管理部門が長年担ってきた役割そのものです。新しい仕組みが入れば、ルールを整え、リスクを管理し、コンプライアンスを担保する。AIという新技術も、例外ではありません。むしろ、AIは影響範囲が広く、リスクも見えにくいため、統制の重要性はこれまで以上に高まります。AIガバナンスは、これからのコーポレート部門の主要なテーマになっていくはずです。

AIが生み出している「新しい需要」
AI生成コードの仕上げ 欠陥を見抜き、使えるレベルにするスキル
AIを悪用した攻撃への防御 セキュリティの穴を事前に塞ぐ専門家
AI倫理・ガバナンス対応 社内のルール作り・コンプライアンス体制の構築

「なくなる仕事」と「生まれる仕事」は、いつも入れ替わる

歴史を振り返れば、イノベーションのたびに、「なくなる仕事」と「生まれる仕事」が入れ替わってきました。自動車が馬車を不要にし、表計算ソフトが手作業の集計を不要にした。けれど、そのたびに新しい職業が生まれ、人々はそちらへ移っていきました。今回のAIも、おそらく同じ道をたどります。

大切なのは、AIに代替される仕事を恐れることよりも、AIが生み出す新しい需要に、どう自分のスキルを合わせていくか、という視点です。サイバーセキュリティも、AIガバナンスも、数年前には今ほど注目されていませんでした。これから何が必要とされるかを見極め、そこへ自分を寄せていく。その視点を持てるかどうかが、これからの働き方の分かれ目になると感じています。

管理部門にとっても、これは他人事ではありません。AIが定型業務を担うようになる一方で、AIを安全に使うための統制、ルール作り、リスク管理という新しい役割が生まれています。変化を脅威ではなく機会として捉え、自らの専門性をそこへ重ねていく。それが、AI時代の実務家に求められる姿勢なのだと思います。

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参考・出典

本記事は報道されている内容をもとにした筆者個人の見解です。引用した数値・事例の詳細は、出典元をご確認ください。

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