経営企画という組織が、会社によってこれほど違うものか――ある調査レポートを読んで、その実態をあらためて興味深く感じました。組織の型も、AIの使い方も、各社が手探りで最適解を探している。経営企画という仕事の「正解のなさ」が、データからも浮かび上がってきます。
経営企画は「日本企業に特有」で、ベストプラクティスがない
そもそも経営企画部は、日本企業に特有の組織だと言われます。確立されたベストプラクティスが存在せず、各社が暗中模索で試行錯誤している、という指摘があります。
その理由は、経営企画という仕事の性質にあると考えます。機密性の高い業務が多く、外部に発信されにくい。さらに、事業部との異動も多いため、組織にノウハウが蓄積しにくい。だからこそ、ある会社では中期経営計画と予算管理が中心で、別の会社では新規事業やM&Aまで踏み込む、というように、同じ「経営企画」という名前でも、その役割の幅は大きく異なります。看板は同じでも、中身は会社の数だけある、というのが実態に近いのだと思います。
AI利用率87.1%、でも「意思決定にそのまま使える」は13%
そして、AIの活用についても、この調査は日本企業の現状をよく表しています。レポートによると、経営企画部の生成AI利用率は87.1%に達したといいます。ほとんどの部署が、すでにAIを使っている。ところが、その回答を「意思決定にそのまま使える」とした割合は、13%にとどまったとされています。
この「87.1%」と「13%」のギャップこそが、現状を象徴していると感じます。生成AIは、調査や情報のまとめ、論点出し、原案づくりといった「判断の手前」の業務では、すでに強力なパートナーになっている。一方で、業務判断そのものの代替には、まだ至っていない。情報ソースの信頼性やセキュリティが課題として残り、AIの回答の正否を見極めるために、信頼できる専門家やデータベースとセットで使うことが鍵だ、とされています。
「まだお試しの段階」が示すもの
これは、AIが「まだお試しの段階」にあるという実態を、よく示していると感じます。AIの答えをそのまま信じきれず、検証しながら、恐る恐る使っている。多くの現場の実感に近いのではないでしょうか。
経営企画のように、正解のない高度な判断業務こそ、本来はAIが価値を発揮しうる領域のはずです。膨大な情報を整理し、選択肢を比較し、論点を洗い出す――そうした作業は、AIの得意分野と重なります。それなのに、なぜ「13%」にとどまるのか。理由は、AIそのものの性能というより、その手前にある「検証体制」や「使いこなすノウハウ」が、まだ追いついていないからだと考えます。AIの答えが正しいかを判断できる土台がなければ、答えを使う決断はできない。ここが、普及の次のボトルネックになっています。
組織の型も、AIの使い方も、これから各社が最適解を探す
経営企画という組織の型に決まった正解がないように、AIの使い方にも、まだ決まった正解はありません。どちらも、これから各社が、自分たちなりの最適解を見つけていくフェーズにあるのだと思います。
そして、この2つは無関係ではありません。AIを使いこなすには、その答えを検証できる「情報の質」への投資が要る。調査でも、増収増益企業はAI活用の深さと情報の質への投資の両面で差がある、と指摘されています。組織として、どんな情報基盤を持ち、どう判断の精度を上げていくか。AIをどう業務に組み込むか。この2つをセットで設計できる会社が、これからの経営企画の優位を築いていくのだと感じています。型がないことは、裏を返せば、自社に合った型を自由に作れるということ。手探りの時期は、同時にチャンスの時期でもあります。
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※本記事は、公表された調査レポートをもとにした筆者個人の見解です。調査の詳細な数値・項目は、出典元の資料をご確認ください。
