英国が2026年6月、16歳未満のSNS利用を禁止する方針を発表しました。2027年春の施行が想定されています。子どもを守るという観点は理解できます。ただ、人事・労務に携わる立場からは、これが本質的な解決になるのか、疑問も感じています。
「使っていいのはプライベートのみ」――社会人の就業規則と重なる構図
実は、社会人の世界でも、就業規則で業務中のSNS利用を禁止している会社は多くあります。背景には、投稿に秘密情報が映り込んでいた、機密が漏洩した、といったトラブルが後を絶たないという現実があります。
英国の措置は、先行するオーストラリアと同様のモデルを採用し、利用者本人ではなくプラットフォーム側に年齢確認を求める形を取るとされています。対象サービスの広がりを見ると、これは結局のところ「使っていいのはプライベートのみ」という線引きを、社会全体で引き直そうとしている動きとも読めます。会社が就業時間中のSNSを制限するのと、社会が未成年のSNSを制限するのは、構図としてよく似ているのです。
禁止だけでは、根本的な問題は解決しない
ただ、人事・労務の立場から強く感じるのは、禁止だけでは根本的な問題は解決しないということです。
先行するオーストラリアなどの事例でも、年齢確認の困難さや、VPNの利用をはじめとする多くの抜け穴の存在から、実効性が疑問視されています。実際、オーストラリアの報告では、制限後も「変化はほとんどない」と答えた未成年が多数にのぼったとされています。どこでも禁止する風潮が広がる一方で、肝心の「どう安全に使うか」という基礎的なデジタル教育が追いついていない。ここに、私は危うさを感じます。
ルールで縛るだけでは、自律的な判断力は育たない
禁止は、一時的な保護にはなります。しかし、いずれ子どもたちは大人になり、SNSと向き合うことになります。社会人になってから就業規則で縛られるのと同じで、ルールで縛るだけでは、自律的な判断力は育ちません。むしろ、縛られている間に「考える機会」を奪われたまま大人になると、いざ自由に使える立場になったときに、判断の基準を持てません。
情報リテラシー、プライバシー意識、発信の責任――こうした基礎教育にこそ、もっと社会的な投資が必要ではないかと感じています。これは、会社における従業員教育の課題とも重なります。SNS利用を就業規則で禁止するだけでなく、なぜ危険なのか、どう使えば安全なのかを伝える教育があって初めて、ルールは生きてきます。子どもに対しても、社会人に対しても、「禁止」と「教育」は両輪であるべきだと考えます。
参考・出典
※本記事は報道されている事実をもとにした筆者個人の見解です。各国の規制内容や施行時期は変更される可能性があるため、最新の情報は一次情報をご確認ください。

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