「隠すより相談する。IPO準備の現場で痛感した『早期報告』の合理性」

「煙がくすぶっている段階で報告する」という習慣について書かれた記事を読み、強く共感しました。これは社内の上司・部下の関係にとどまらず、対外的な信頼関係でもまったく同じことが言える——IPO準備の現場を見てきた立場から、そう感じています。

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「うまくいっていないとき」にこそ差が出る

その記事で紹介されていた調査によると、「仕事がうまくいっていないときは、早めに報告する」と答えた人の割合は、一般社員では27%だったのに対し、期待されている人では87%にのぼったといいます。一般社員は火柱が上がってから報告するが、期待されている人は煙がくすぶっている段階で報告している――この対比は、IPO準備の現場で見てきた光景とそのまま重なります。

IPO準備では「煙の段階の相談」が決定的に重要

IPO準備においては、社内で起きたトラブルや課題を、主幹事証券や監査法人に早い段階で相談することが極めて重要です。労務問題、会計処理の論点、コンプライアンス上の懸念――どれも「自分たちで解決してから報告しよう」と抱え込むと、後になって発覚したときの心象が大きく悪化します。

審査する側からすれば、問題そのものよりも「なぜ早く言わなかったのか」が、信頼を損なう最大のポイントになります。これは、上司が「問題が起きたこと」より「報告が遅れたこと」を重く見るのと、まったく同じ構造です。社内の報告も、対外的な開示も、信頼を測るものさしは変わりません。

隠すより、相談する。それが最も合理的

隠蔽は、必ずと言っていいほど後で明るみに出ます。そして発覚したときには、問題本体よりも「隠していた」という事実が、はるかに重い傷になります。むしろ、煙の段階で相談すれば、主幹事や監査法人は、解決のパートナーとして一緒に動いてくれます。早期に共有された課題は、対処の選択肢も多く、傷が浅いうちに収められる。

透明性のある経営は、きれいごとではありません。実務的に見て、最も合理的な選択なのです。問題を隠して得をすることは、長い目で見れば一つもありません。

小さな報告の習慣が、信頼経営の土台になる

「20%報告」のような小さな習慣は、個人の評価を高めるだけのものではありません。それは、会社全体の信頼を積み上げる文化の土台にもなります。煙の段階で声を上げることが当たり前になっている組織は、対外的にも「早く・正直に話す会社」として信頼されます。

社内の一人ひとりの小さな報告の習慣が、やがて会社の対外的な信頼経営につながっていく。管理部門に携わる立場として、この地続きの関係を、改めて意識したいと思っています。

参考・出典

本記事は、報道・書籍で紹介された内容をもとにした筆者個人の見解です。引用した調査結果の詳細は、出典元をご確認ください。

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